Design of everyday life(自分らしい生活をデザイン)

Life-Design , Self-management , Interior , Book etc..

時間管理を極めた先に何があるか?

 これまで「たすくま」を使っての時間管理、目的であるブログ等でのアウトプット、それぞれの試行錯誤を書いてきました。時間管理は順調にすすんでいて、これまで気がつかない日常の雑事も片付き、かつアウトプットを行う時間も確保出来てきました。現在は、アウトプットのためのevernoteの活用方法なども考え、少しずつ実践しています。


 この試行錯誤のプロセスで、書籍のひとつのフレーズが心にひっかかっています。 

 梅棹忠夫先生の著作「知的生産の技法」の中で述べられている、
「整理や事務の技法は能率の問題というより、むしろ精神衛生の問題」というものです。
 梅棹先生は、本書の中でこう述べています。

 これはむしろ、精神衛生の問題なのだ。つまり、人間を人間らしい状態につねにおいておくために、何が必要なのかということである。かんたんにいうと、人間から、いかにしていらつきをへらすか、というような問題なのだ。整理や事務のシステムをととのえるのは、「時間」がほしいからでなく、生活の「秩序としずけさ」がほしいからである。(P95)

 知的生産の技術のひとつの要点は、できるだけ障害物をとりのぞいてなめらかな水路をつくることによって、日常の知的活動にともなう情緒的乱流をとりのぞくことだといっていいだろう。精神の層流状態を確保する技術だといってもいい。努力によってえられるものは、精神の安静なのである。(P96)

 

 現代は、とにかく「時間がない」と言われています。私も、ずっと時間の確保に右往左往させられてきました。時間を可視化し、必要なことに十分に時間を費やすこと。これが必要です。それを強力にサポートするツールのひとつがtaskchute方式、たすくまです。私は、これで多くの時間を捻出することが出来てきています。
 しかしそれだけでは足りないのです。努力によって空いた時間をどう使うのか?たすくまを使って必死で時間を捻出したその後、私が目的としているアウトプットをどのようにやっていくか?燃え尽きに似た感覚を覚えます。時間を確保しただけでは前に進まないのです。
 バラバラになった資料、本、evernoteに保存したWebクリップなどが乱雑に散らばっていて、そこから必要な情報を拾い上げて新しい何かを生み出していく。そこには無数の障害物があるような気がします。少し進んですぐ障害物にぶち当たってしまう、とてももどかしいです。


 これを解消するにはどうすればいいか?ルールや整理整頓が必要です。障害物を取り除く作業が必要です。これは、スピードを上げるためではなく、精神の安静をもって事にあたりたいという気持ちからです。アウトプットという知的生産をする時には、「能率」だけではなく「精神の安静」も必要なのです。
 アウトプットの時間を確保することが難しい現在、能率は絶対に必要です。しかし、知的生産の際には時間だけでなく精神の安静がないと上手くいきません。だからこそ、それにつながるルールや整理整頓が必要なのです。

 

 時間を確保するために、能率、時間管理が必要。
 精神の安静を確保するために、ルール、整理整頓が必要。
 時間と、精神の安静があって始めて、知的生産は可能になる。

 このことがよく理解できました。

 

 今私が取り組んでいる課題に対し、明確な枠組みをもらった気がします。
 この梅棹先生の「知的生産の技法」は、心に刺さるフレーズ、すぐに実践が出来る技術などたくさんの学びがある本です。
 また、書評としてしっかりまとめたいと思います。

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)