家族の思い出を穏やかに現在、将来に繋ぐ家 〜建もの探訪
フリーライターの旦那さん、インテリア雑誌編集者の奥さん、そしてお母さんの3人家族。
お父さんの時代に建てた築40年以上の家を、構造そのままでリノベーション。以前の家は、当時の大工さんがお母さんのお父さんという思い出の建物。お母さんの同居を期にリノベーションを決意したとのこと。
外壁は焼杉、玄関ドアは以前のものを使用しているので、入口の雰囲気はそのまま。
玄関、壁は泥漆喰。落ち着く雰囲気。土間に漬物石。客間へ渡る際の飛び石として使っている。
ダイニング。L字窓で庭が一望。照明が間接照明でとても柔らかい。ダイニングで庭を存分に楽しめる。キッチン。共働きの夫婦に代わり、お母さんが料理。美味しそうな料理。お母さんはまめで働き者の印象。
リビング。ここもL字窓。お母さんが丹精こめて育てた植物が並ぶ庭が素晴らしい。雨で更に植物が青々としている。置いてあるのは、新居猛がデザインした「ニーチェア×ロッキング」。座って庭を眺めるには最高。建物と庭がとても馴染んでいる。この土地、建物に半世紀住んでいる。この雰囲気は新築ではなかなか出せない。
デッキに出ると、庭が更に素晴らしい。本当に植物の数が多い。リノベーション検討の際は、この庭を残し、楽しめるようにする事が大きなテーマの一つだった。
お母さんの寝室。畳ベッドで足腰にも優しい。窓から庭が楽しめる。風通しも良く夏でもクーラーいらず。
水回り。薄緑のタイル、洗面所と浴室に使用。落ち着く空間。浴室屋根は檜葉。
二階の寝室。小上がり。壁は韓紙を貼っている。
旦那さんの仕事部屋。窓はここもL字。窓から見える景色とあいまる広がりが素晴らしい。
玄関横の客間。茶室を思わせる。床は畳ではなくサイザル。土間を渡るので離れの感覚。異空間の雰囲気。
渡辺さんのコメント
心の底から落ち着く家。多田さんは、あえてリフォームを選択。思い出を大事にすることを選んだ。制約があるから、パズルを解くような設計だっただろう。でも素晴らしい答えを出している。お母さんの庭を味わうための建物といえる。
「お母さんの庭」がキーワードの家。お母さんのこまめさと明るい雰囲気がそのまま家にあらわれている。そこに旦那さんの大らかさとお母さんをサポートする奥さんが加わり、3人の生活のハーモニーが見えるよう。
これまでのこの土地での生活の思い出をとぎれさせることなく、更に安らぎと明るさ、使いやすさを加え、3人の人生が更に素晴らしいものになったようだ。
家族の思い出を穏やかに現在、将来に繋ぐ家。
思い出を紡ぐリノベーション (東京都町田市・多田邸)
■渡辺篤史の建もの探訪
http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/backnumber/#!/2014/34
■丸山弾建築設計事務所
http://www006.upp.so-net.ne.jp/dm-architect/top.html
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