書評:「大人のための素敵な良品生活のすすめ」石黒智子著
石黒智子さんが書かれた、「大人のための素敵な良品生活のすすめ」を読みました。
石黒さんは、主婦であり家事アドバイザーとして活躍されていますが、この本は、石黒さんが実践されている生活の上でちょっと工夫することで生活が豊かになるアイデアや、生活のこだわり、お気に入りの道具などを紹介する内容になっています。
アイデアや道具で気になるものも沢山あり、是非使ってみたいという人が沢山いるだろうなという内容でした。
その中で私が気になったのは、個別のアイデアや道具ではなく、そこに流れる石黒さんの考え方です。文章の端々にその考え方が出てきていて、とても共感しました。
書中の一文。
人の暮らしは千差万別で、「収納名人」と自分の生活は全く違うのですから、収納や節約の知恵には、まず「反論してみる」ことです。反論することで、自分流の収納や節約法が見えてきます。収納名人は反面教師と覚えましょう。(P81)
そして、
自分の欲しいものに出会っていないのは、欲しいものが自分の中でまだ漠然としているからです。(P151)
アイデアや道具、モノを選択するのはあくまでも自分であって、自分流の考えを身につけることが一番大切。選択できないのは自分の考えがまだ漠然としているからだと言われていると感じます。
石黒さんのいろいろなアイデアに多くの人が惹かれるのは、センスの良さも当然ですが、「選択」があるからだと思います。ただなんとなく取り入れてみた、買ってみたのではなく、自分に問いかけ、考えた結果としての「選択」がある。それも選択の理由を人に対して説明が出来る「選択」。
おそらく、その説明は一般的に受け入れられるかどうかは関係ないと思います。「言語化」が出来るということ。言語化するためには、しっかり「考え」ないといけない。
結局石黒さんは、生活する上で「考えること」を要求しているのだな、そう思いました。
そう考えると、私に対して石黒さんが、書中にある沢山のアイデアや道具を並べて、「あなたはどう思う?」と聞いているような気がします。この石黒さんの問いかけが、「好き」「嫌い」だけでなく、「本当に自分に合っているかどうか?」を、自分自分に問いかけ、「考える」ことにつながるような気がします。
そして、この自分への果てなき問いかけの果てが「こだわり」になる。
そういうことを考えされる一冊でした。
大人のための素敵な良品生活のすすめ―最小限のもので、贅沢する技術
- 作者: 石黒智子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
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