Design of everyday life(自分らしい生活をデザイン)

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目先の損失回避の心の動きにどう立ち向かうか?

 保育園に通う子供をもつ僕たち夫婦は共働きであり、平日は僕が仕事の時間をセーブし主に子供の世話をしています。その分、休日に自分の仕事の穴埋めをしています。時間の融通は僕の仕事の方がし易いからです。
 でも仕事を始める段になって、子供が遊びたいと駄々をこねます。妻は僕の仕事の状況を理解しており、外出するなど仕事がしやすい体制をとってくれています。
 しかし、面前にいる子供の悲しい顔を見てしまうと、ついつい仕事の時間を減らして子供と一緒に遊びに行きたくなってしまいます。

 

 大事なことだと理解しているのに、目前の損失にとらわれて行動を変えてしまうということは、よくあることです。これは損失回避に関する人の認知的なバイアス(偏り)のせいと言われています。

 カーネマンとトヴェルスキーが提案したプロペクト理論によると、感じる主観的な価値は絶対的な水準ではなく、それ以前の状態との相対的比較によって決まるといいます。
 具体的には、月収が40万円の人が30万円に減った場合と、月収20万円の人が25万円に増えた場合は、給料の絶対額にかかわらず、前者を損失と後者を利得と考え、後者の方が満足度合いが高いと予想します。
 またプロスペクト理論は、同じ金額の損失の不満足度合いは利得に感じる満足度合いに比べて大きいと予想します。10万円の損失による不満足は10万円の利得による満足より大きいというのです。利得と損失との満足の差は2倍から2.5倍といわれています。
 この理論から考えると、妻のバックアップにより減らされている目先の損失(子供の泣き顔)でも、先の利得(仕事で得られる成果)より優先されているということになります。

 

 このようなバイアスをできるだけ回避する方法も考えられます。
 現在の「仕事をする」結果得られる利得は、相当先にしか得られません。その利得を当面に得られるような仕掛けをするのです。具体的には、仕事をした後に好きなTVを見る時間をつくるとか、美味しいごはんを食べるとか、子供としっかり遊ぶとか。
 また、仕事をするという行動自体に目先の損失が隠れているともいえます。仕事をする環境が暑い、寒いなど快適ではない。仕事をするための準備(机の整理、道具を探すなど)が必要になるなど。これらは身体や心に負担を生じさせるという意味では当面の損失ともいえます。そのような防げる隠れた損失を事前に回避し、できるだけスムーズに仕事に入れるようにしておくのです。
 このように目先の損失に惑わされないようにしながら、先の大きな利得を得られる仕事が出来る心の体制をつくるのです。


 このようなことが出来るのも妻のバックアップのおかげです。これだけ色々苦労をしたのに妻へのねぎらいの言葉を忘れて、くれぐれも目先の小さな損失を大きな損失に変えてしまうことのないように。。自戒をこめて。